20世紀のデザイン史において揺るぎない評価を得ている北欧デザインの中でも、フィンランドのモダン・デザインは独自の位置と人気を確立しています。年齢や性別、嗜好に限定されず、誰からも好まれるその「グッド・デザイン」は、1950年代以降、国際的に注目を浴びて、以後の世界のデザイン・シーンに大きな影響を及ぼしました。本展覧会に出品されるアルヴァ・アアルトの家具やカイ・フランクの量産型食器、マリメッコのテキスタイルなどに代表されるような、「くらしを豊かにする」フィンランドのデザインは、時代と地域を超えるロングライフ・デザインとして現在も多くの家庭で愛用されています。 これらグッド・デザインが生み出されてきた背景に見られるのは、厳格な機能主義ではなく、単なるナチュラル志向でもない、「全ての人々にとってあらゆる観点から良いモダニズム」を追求する一貫した姿勢です。自然豊かなフィンランドの風土の中で生まれたこのデザイン哲学は、人間と自然との共存や、地域コミュニティでの相互扶助を重視する、フィンランドの伝統的かつ本質的なライフスタイルを反映し、エコロジーやユニヴァーサルといった現代の課題をも内包しながら、今日まで受け継がれています。
モダン・デザインの黄金期を彩ったデザイナーやブランドのプロダクトをはじめ、絵画、文学、建築、工芸など多分野に及ぶ作品約350点で構成される本展覧会では、これを生み出す背景となったフィンランドの自然やライフスタイルを象徴する存在として「ムーミン」に注目、世界中で愛されているトーヴェ・ヤンソンが創造した物語『ムーミン』に描かれた森の生活の中から、フィンランドのくらしやデザインのキーワードを探ります。また、19世紀末から20世紀前半のナショナル・ロマンティシズムの動向を示す、画家アクセリ=ガレン・カレラやペッカ・ハロネン、建築家エリエル・サーリネンらの作品を展示、作家たちが創造の源泉とした「スオミ(=フィンランド)」の風景や民族叙事詩『カレワラ』の神話的世界など、後のモダン・デザインへとつながっていくフィンランドの精神に迫ります。さらに、展覧会のエピローグとなる第3章では、公共交通デザインやエコ住宅といった2000年代以降の最新の取り組みも紹介、今日まで継承されるフィンランドの「グッド・デザイン」の系譜を展覧します。
2012(平成24)年4月7日(土)~6月3日(日) 青森県立美術館
6月10日(日)~8月26日(日) 宇都宮美術館
9月1日(土)~10月8日(月・祝) 静岡市美術館
10月19日(金)~12月24日(月・祝) 長崎県美術館
2013(平成25)年1月10日(木)~3月10日(日) 兵庫県立美術館
青森県立美術館、宇都宮美術館、静岡市美術館、長崎県美術館、兵庫県立美術館
フィンランド大使館、フィンランドセンター
フィンエアー
アルテック社、イッタラ(フィスカース・グループ)、株式会社スキャンデックス、マリメッコ社、株式会社ルック、株式会社タトル・モリ エイジェンシー、社団法人日本フィンランド協会、小海フィンランド協会、株式会社竹尾
株式会社キュレイターズ
宇都宮美術館